博愛主義者4

それからというもの、度々仙道さんに色々なところへ遊びに連れて行ってもらった。そのどれもがたのしくて、幸せだった。

・・・でも、今日も・・・

「あきらぁー」
「お。」
二人で街の大通りを歩いていたら、長身の綺麗な女の子が向こうからやってきた。そして彼女は仙道さんに駆け寄ってきて、その腕に巻きついた。どうやら、話しぶりを見るに同じ綾南の生徒らしい。
「ねぇねぇ、どっかいこうよー」それ、もしかして彼女??どうせ大丈夫なんでしょ?
そう言って私のほうをチラっと見た後、ぷぃと仙道さんの方を向いた女の子は、大きな目をさらに大きく開いて彼を見上げた。
そんな女の子に
「いいよ。いこっか。」と、仙道さんは即答した。
身長の合った、綺麗な二人がこちらを振り返る。
女の子が勝ち誇ったような顔でこちらを見ている。
「じゃあ、行ってくるから。またね。」
仙道さんは、私にそう言った後、とても自然な様子で女の子と肩を組み大通りに消えていった。
「・・・はい、また。」
そう言って、もう後ろ姿が見えなくなった二人を見送った。
行き交う人々の中に、私はしばらく佇んでいた。


・・・付き合い始めてからというものの、こういうことが何回もあった。
初めのうちはどうしようと迷ったのち、以前のように一度問い詰めてみたことがあったが、仙道さんはやっぱり
「あの子はただの友達だよ」
とほほ笑むだけだった。
そしてそれからも幾度となくこういうことがあったので、私はきりがないということを悟った。

そして、毎回こういうことがあると、私もひとつの考えに行き当たる。

・・・仙道さんは、博愛主義者なんだ・・・。

愛されれば拒まないし、可哀想な人を見ると放っておけない。
そういう考えで動いているのだと、そう思った。
・・・私は今まで色々と、深く考えすぎていたのかもしれないな。もっと柔らかく物事を考えなきゃ・・・。
同時に、今までの心の狭い自分を反省した。

そう思いつつも、優しい仙道さんに惹かれてしまった私は、やっぱり胸が痛むのだけど。